20090702

こどもや若者の未来のため、「教育」はどうするか 

 

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   スローレポート 『S-Report』 (7/2号)

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 ESD学校教育研究会が主催する「ESD授業デザインプロジェクト公開研究会2009 Vol.1」が6月21日 、東京・文京区のアカデミー茗台で開かれた。 

 

◆◆◆    こどもや若者の未来のため、「教育」はどうするか    ◆◆◆ 
 
 「ESD」とは、「持続可能な開発のための教育」のことで、2002年のヨハネスブルグ・サミットで日本の市民と政府が提唱し、日本でも政府によるESD国内行動計画が策定された。その推進のために政府も内閣府を中心に「国連持続可能な開発のための教育の10年関係省庁連絡会議」が設置されている。

 ESD学校教育研究会によると、目の前の児童や生徒、学生、大人あらゆる人びととともに、持続可能な開発ための教育のような「よりよい未来をつくる教育のとりくみ」はたくさんあるという立場から、学校での未来につながる学習・教育やESDを考えたいと考え、ESD授業デザインプロジェクトでは学校での社会科、理科、家庭科、英語などの授業実践の報告・検討や環境教育・開発教育・地域教育など多様な教育との連携をしてきたという。
 
 公開研究会では、まず、「ESD及びESD授業デザイン」について同研究会代表の浅川和也氏(東海学園大学)が話した。

 続いて、「福祉を学ぶことの意義について考える(実践的活動を通して)」として、神奈川県立七里ガ浜高校の渡辺岳教諭(社会福祉士)が事例発表を行った。

 渡辺教諭は生徒たちが他者を知ることや実践的思考力・知識を養うことに「福祉を学ぶことの意義」があると考え、高校で体験学習、実践的活動によるボランティア学習を進めてきた。そして、生徒たちがその体験を体験記にまとめて自己評価する仕組みをつくり、ボランティア・インターンシップとして行っている。生徒たちの体験記を読み上げたが、その文章から生徒たちが「体験」を学びや経験・生きる力にかえた様子や福祉の問題点が垣間見えた。
 
 渡辺教諭は、障害の問題だけでなく、社会的弱者を切り捨てる社会は持続不可能な社会であり、高校で「福祉を学ぶことの意義」は体験を通じて実践的思考力・知識を養うと同時に、福祉によって社会を持続可能にすることを考えることでもあると話した。

 次に、「持続可能な社会をつくる『ふくしと教育』」として日本社会事業大学の田村真広准教授が福祉教育について話した。

 田村准教授は、調査で訪れたデンマークには日本のような「福祉教育」が存在しないという。制度を学ぶのではなく自立的に生きるための「民主主義の教育」が「ふくし」の教育にもなっていると述べた。このように「広い意味でとらえた福祉教育」・「ふくし」の教育のテーマとしてこどもの貧困と若者の失業問題や高校での福祉科や福祉教育の実践の意味について述べた。

 同氏は、これらは単に経済の問題にとどまらず社会的公正の問題、ふくしの問題であり、同時にこども・若者と大人の問題は「世代間の断絶や継承の困難さ」という大きな問題を孕んでいると言う。

 つまり、成長期に安定した生活を送って大人になった世代と長期低成長期・不況期に不安定な生活を強いられたこどもや若者たちの間で断絶があり、また、教育のひとつの機能であるライフスタイルや文化の伝承などが行われなくなってきたという。

 最後のESD授業デザインワークショップでは、参加者から発せられた若者の失業に関する問いから始まって、教育のあり方や人のつながりなどが討論された。
 
 ESD持続可能な開発のための教育は「知識伝達型だけではない教育」を目指しているが、それには、渡辺氏が実践しているように「体験」を学びや経験・生きる力にかえる教育方法が必要である。

 また、田村氏が述べたように、こどもの貧困と若者の失業問題などの世代間不公正は一番身近で大きな社会の持続不可能性の問題である。ESD持続可能な開発のための教育は「世代内公正」(同時代にいる人々の間の公正・公平)と同時に「世代間公正」を目指すものだが、その意味ではこどもの貧困と若者の失業問題や「世代間の断絶や継承の困難さ」はESD持続可能な開発のための教育の緊急テーマである。

 今回は、参加者と「学校教育」や「障害者」の話だけでなく、このようにこどもや若者の未来のために「教育」はどうすればいいのかを論議することができた。

 もし、本当にこの国を持続可能にすることを考えるなら、学校の奉仕活動によって奉仕精神を植えつけるとか、こどもや若者のキャリアをどうするかとか、国際競争に勝ち抜く人材の育成だとかではなく、こどもや若者のおかれている現状から発して、こどもや若者の未来につながる「未来をつくる教育」を多世代共学・異世代協働でつくっていくことが、今、もっとも重要ではないか。


 この公開研究会2009は、今後も下記の通り行われる。

 ・7月4日  ESD授業デザインプロジェクト公開研究会2009 Vol2 岩手
 ・7月20日 ESD授業デザインプロジェクト公開研究会2009 Vol3 名古屋
 ・8月16日 ESD授業デザインフェスタ2009 「ESDとユネスコスクール」東京
 ・8月22日 ESD授業デザインフェスタ2009 「ESDカリキュラム検討会」東京

 詳細はESD学校教育研究会へ。http://www.e-tiiki.net/ESD/


◆◆◆             ご案内              ◆◆◆

ESD授業デザインプロジェクト公開研究会2009 Vol2 岩手

 環境教育、開発教育、国際理解教育、平和教育、市民教育、福祉教育は、「持続可
能性のための行動と学習」にもとづく持続可能な未来をつくる教育であり、私たち
は、これらの授業実践からESD持続可能な開発のための教育を研究しています。

 今回は、学校の授業にできるだけ的を絞ったESDミーティングを行い、学校が持
続可能な未来に対してどのような考えを持っているのか、各地の授業実践をお聞きし
ながら、意見交換をしたいと思います。そして、持続可能な未来を作る教育のエッセ
ンスを先生だけでなく参加者全員で考えたいと思います。どなたでも参加できますの
で、どうぞおいでください。※参加費無料

 なお、当日は午後1時から「第2回岩手県幼小中高大専ESD円卓会議」が同会場
で開かれ、兵庫教育大学学長の梶田叡一先生の基調講演「『言葉の力』と『生きる
力』」や実践報告もございます。昼食は大学内でとれますので、朝からおいでくださ
り、どうぞご参加ください。学内に駐車場もございます。

日時:2009年7月4日(土) 9時30分~12時
場所:岩手大学総合教育研究棟(教育系;旧教育学部1号館)

内容:

 1)挨拶
  ・岩手大学副学長     玉真之介(ESD「学びの銀河」推進委員会委員長)
  ・ESD学校教育研究会代表 淺川和也(東海学園大学人文学部教授)

 2)話題提供

  ・岩手大学教育学部 准教授 梶原昌五
   「持続可能な未来を作る教育の10年の授業とは」
     国連持続可能な開発のための教育の10年の概要と、その授業とはどんなも
     のになるか。

  ・宮城県気仙沼市立鹿折小学校 教諭 阿部正人
   「授業作りは、つながりづくり」
     気仙沼市の小学校で取り組んだ、「川」「ミミズ」「おむすび」などを素
     材とした授業について紹介します。

  ・北海道教育大学附属旭川中学校 教諭  松田剛史
   「持続可能な社会の構築に向けての学習全体計画の策定」
     新学習指導要領において明記された「持続可能な社会」に向けての中学校
     各教科・領域における学習全体計画づくりについての考え方とその例示に
     ついて提案します。

  ・ESD学校教育研究会 事務局長 長岡素彦
   「持続可能な未来をつくる多様な教育と授業デザイン」
     ESD持続可能な開発のための教育の授業の全国事例、平和教育、市民教
     育、福祉教育などの授業事例紹介します。

 3)フリーディスカッション
  参加者の方々のデータがありましたら、パソコンとプロジェクタで投影いたしま
  す。また、資料の配布は自由です。

■問合せ先:岩手大学教育学部理科教育科 梶原昌五
      〒020-8550 盛岡市上田3丁目18-33 電話:019-621-6556(FAX兼用)
      メール:skaji@iwate-u.ac.jp

■特典:ユネスコ・アジア文化センター作成の「ESD教材活用ガイド」を先着50名
    様に差し上げます。

 

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