地域防災力の向上とICTの利活用「情報団」の役割を考える
主催:横浜コミュニティデザイン・ラボ
7月5日、政策デザイン勉強会 vol.11「地域防災力の向上とICTの利活用/「情報団」の役割を考える」(主催:横浜コミュニティデザイン・ラボ 協力:かながわ311ネットワーク、NPO法人濱橋会、NPO法人湘南市民メディアネットワーク)が横浜市のさくらWORKS関内で行われた。
「今回の勉強会では、首都圏において大規模地震(最大震度7、M7級)が発生した場合を想定し、 市町村の管轄下の自治会・町内会などのエリア毎の災害関連情報を地域全体で共有するために、地域で日常的に情報コミュニケーション活動を行う「人」が主役となって「情報」を流通させる仕組みを、「情報団」というメディアリテラシーの高いローカル情報の収集・発信を担当する役割を軸に考えてみます。
東日本大震災以降、首都圏及びその周辺都市においても多くの人命・財産・地域資料を奪う巨大地震が起こった際の情報コミュニケーションのあり方に関して、関心が高まってきています。
関東ICT推進NPO連絡協議会では、平成24年度に防災調査研究の分科会を立ち上げて、調査研究を実施しました。調査研究は、被災者の安全確保と減災効果を高める地域社会の構築を目的に、大地震等が発生した際に、被災者が身の安全を確保し二次災害を回避するために必要となるローカルな災害情報等を、どのように集め、配信し、地域住民に届けることができるか、その標準的な仕組みを検討のうえ提言しました。
今回の政策デザイン勉強会では、「地域防災力の向上とICTの利活用/「情報団」の役割を考える」をテーマに、関東ICT推進NPO連絡協議会がおこなった防災調査研究の成果を報告・共有すると共に、マスメディアが報道する情報とは別に、市民が情報を収集して発信し、行政や地域メディアと有機的に連携する現実的な仕組み「ICT地域防災情報支援システム」の横浜市におけるモデル展開について検討します。」趣旨
まず、地元関内で地域の活性化と防災に取り組むNPO法人濱橋会が防災マップづくりの活動紹介を行った。
次に、「関東ICT推進NPO連絡協議会防災調査研究成果報告」が総務省関東総合通信局情報通信連携推進課の島田利明氏よりが行われた。
関東総合通信局とNPOの協働組織である同連絡協議会は、昨年度「首都直下地震発生時の被災地における情報流通の在り方について」を研究した。
この報告書は東日本大震災の情報の教訓、首都直下型地震への対応、災地における情報流通の在り方、そして、防災まちづくりへの提言などが記載されている。また、地域防災コミュニケーション支援システムの実地試験も提唱している。
また、「ネオポスターについて」がNPO法人湘南市民メディアネットワーク 理事長の森康祐氏より行われた。
同氏は、ポスターそのものを撮影してデジタ化して、その内容を自動的に判断し、必要な情報に結びつけるネオポスターシステムと震災での活用について述べた。
「首都直下地震発生時の被災地における情報流通の在り方について」の中で、情報ボランティアを消防団のように地域で位置づけるのが情報団である。
論議では、参加者から万能な仕組みはない、また、ICTが初動で有効かという指摘や災害時には上意下達はきかないなどという意見があった。これに関連してヨーロッパの昔のタウンクライアーのように辻立して情報を伝えることも必要との話もあった。
また、同市青葉区の区民が減災ネットワークを検討してる立場から既に学校などの防災拠点での活動検討に情報団を活かすことの必要性、地元中区の関内の消防団からは地元密着組織としての消防団を生かし欲しいとの意見がされた。
また、学識経験者からは消防団はプロを助けるセミプロであり、情報団もプロを助けるセミプロという立場で考えてはという示唆があった。
iSPP 情報支援プロボノ・プラットフォームからは東北での教訓としてラジオなどの有効性と普段使ってないメディアは使えないなどの指摘があった。
「かながわ311ネットワーク活動紹介」 が、かながわ311ネットワーク代表理事の伊藤朋子氏より行われた。
被災地支援を行ってきたかながわ311ネットワークは、これまでの活動と支援している「おおつちありがとうロックフェスティバル(通称アリフェス)」について述べた。
「横浜市におけるオープンデータの取り組みについて」として横浜市政策局政策支援センターの関口昌幸氏は、市民が情報を収集して発信し、行政や地域メディアと有機的に連携する現実的な仕組みについて、横浜市はこれを実現できる体制にあると述べた。
まず、今回のような市民や消防団の動きと横浜市民メディア連絡会など市民が情報を収集して発信する体制があるという。
また、横浜市は市のビックデータをオープンで活用する仕組みを市民や企業とすすめているので、災害時にも対応可能と語った。
参加者からは、災害時には庁内の制度の壁を越えることが必要でるが、防災担当部署と情報担当部署の壁があるという指摘や消防団には情報についての話が市からないなどの実例が述べられた。
助けあいジャパンの情報収集実行チームから「助けあいジャパン情報レンジャー」という仕組みの紹介とその問題も提起された。
「情報団を作るのは簡単だけど、それを運用するのが一番考えなければ行けないところ。
東北3県で35名の緊急雇用をおこない沿岸部の市町村の行政完全連携チームと、県内をくまなく回る2体制での「情報レンジャー」がいるのですが、リテラシーの課題もあるし、ニュートラルな情報発信って難しいんですよね
そしてなにより、発災72時間が一番情報が必要だけれど、被災者は「自助」「共助」に集中しているから冷静な情報発信が難しいので、被災していない方々が被災地の情報発信をしていくという体制も必要です。」
「助けあいジャパン情報レンジャー」 http://inforanger.tasukeaijapan.jp