iSPP情報支援プロボノ・プラットフォーム
第 3 回 iSPP 定時総会
記念セミナー・ワークショップ
6月22日、iSPP情報支援プラットフォームの第3回iSPP定時総会・記念セミナー・ワークショップが遠野まごころネット東京事務所で開催された。
iSPP情報支援プロボノ・プラットフォームとは、弁護士など各分野の専門家が、自分の持つスキルや経験を活かして社会貢献するプロボノの方法でICT情報通信技術の専門家としての個人・組織・企業が震災・復興に対して専門支援することを目的とした組織である。
iSPPはすでに震災初期から災害情報インフラや情報の復旧・支援を先行して行っており、組織を整えて昨年5月24日に設立された。
iSPP情報支援プラットフォームの総会は黙祷から始まった。黙祷も東京では少なくなった。
総会では年度報告と新年度計画が論議され、プロジェクト紹介を行われた。
2012年度は直接的な支援以外にIPA委託の「災害時支援活動に係る IT 利活用の課題調査」、iSPP 国際会議「震災復興と ICT の役割」開催を行った。
ispp「ウェブサイトリニューアルプロジェクト」として宮城教育大学の安藤研究室の学生の発表が行われた。
2012 年 10 月に正式なプロジェクトとし て「ウェブサイトリニューアルプロジェクト」が発足し、宮城教育大学の安藤研究室の学生による今までとは異なる、全く新し い枠組みでウェブサイトのリニューアルが進められてきたが、そのプロセスの発表された。
「学生らは、単純にサイト のデザインを考えたわけではなく、積極的に iSPP の意義や目的、活動内容などをプロボノに質問し、 iSPP の存在価値を理解しようとしながら、互いに相当なディスカッションを経て案を考えてくれた。」
仙台市児童生徒による故郷復興プロジェクト 2012への支援について報告が行われた。
仙台市教育委員会からの依頼で「仙台市内の学校の各種の活動を撮影した写真を合わせ、仙台を象徴する「七夕の笹飾り」を構成することで市内の児童が一体となることを表現する」仙台市児童生徒による故郷復興プロジェクト 2012への技術的支援を行い、完成させた。
情報支援レスキューの構想についての発表が行われた。
情報支援レスキューは、災害での情報の重要性を鑑み、その支援をするシステムを構想している。
iSPP が実施するスタディツアーのコンセプトは「その活動理念、ミッションに基づき、1.被災地・被 災者理解、2.被災地・被災者支援、3.次世代リーダー育成の3点に沿ったもの」であり、災害発生時の BCP 対策から復興への取り組みをテーマに、「災害発生時に情報通信ネットワークにどのような課題が発生し、対処し たか」、「復興あるいは次の災害への備えをどのよう
に進めようとしているのか」について、行政・公共 機関および民間事業者のキーパーソンにお話いただいた。
記念講演「福島から見える日本の未来で」として福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員の開沼博氏から講演があった。
開沼氏は、まず、よく言われる現状認識は正しいかについて、例えば「原発事故で人口流失、雇用減少が続いている」というが、県外避難者は2012年3月をピークに減少している。
これは、「放射能で人が流失」という前提をもった多くのメディア、学者などの「論理」があるせいで、こういう話が広められる。
これは、中央の論理であり、震災前も後も変わらず、「福島を考える」といっているが、実は福島のことではなく原発・脱原発、被曝の話、3.11後、福島の思想!!などの象徴としての福島を語り、現実の福島を考えていない。
このような問題設定の陳腐化を抜け出すには、データをあつめて、正しい現実認識をもって適切な問題設定を行うことが必要と述べた。
そして、このようなことの具体的なものとして、福島の経験をあつめて考える基盤をつくる「福島学構築プロジェクト」などを語った。
そして、これら多くの経験や想いをもとに拾い上げ・コーディネート型社会をつくることが重要だと語った。
ワークショップでは、参加者で情報支援レスキューと福島の被災地支援におけるICTの活用などが検討された。