原発難民
佐藤 紫華子 「原発難民の詩」(朝日新聞出版)
仕事が ありますよ お金を 澤山あげますよ
甘い言葉にのせられて 自分の墓穴を掘るために
夢中になって働いてきて 原発景気をつくった
あの頃・・・・・
人間が年を取ると同じように 機械も年を取るということを 考えもしなかった 技術者たち! ましてや 大地震、大津波に 襲われるとは・・・・・
地震国であり 火山国であるという 基本的なことを 忘れてしまった国の末路か・・・・・
私たちは どこまで逃げれば い・のだろう
追いかけてくる放射能 行く手を阻む線量
見えない恐怖! 匂わないもどかしさ! 聞こえない焦立たしさ!
私たちは安住の地を求めて どこまで いつまでさすらうのだろう
ふるさと
呼んでも 叫んでも 届かない
泣いても もがいても 戻れない
ふるさとは 遠く 遠のいて 近いけど 遠いふるさと
あのふるさとは 美しい海辺
心の底の 涙の湖に ある
一時帰宅
泥棒みたいな服を着て 泥棒みたいに服もって 泥棒みたいにしのび寄る
なつかしさにおののきて あれも、これも、と
手を出して 触れて見る
一時帰宅は 永久の別れか