201303291

縮小する電子書籍端末市場 消滅まであと何年? 

「昨年の年末商戦で初めて電子書籍端末を買った」「最近、やっと電子書籍端末での読書に慣れてきた」――。日本ではそんな利用者も多いと思うが、世界的に電子書籍専用端末の市場はすでに縮小に向かっている。電子書籍端末の“寿命”はあと何年か。専門家に意見を聞いた。

 

「こんなに急速に伸びて、急激に廃れる電子機器は前代未聞」と語るのは、米調査会社IHSアイサプライのジョーダン・セルバーン上級主席アナリストだ。同社の試算によると、世界の電子書籍端末市場のピークは出荷台数が2320万台となった2011年で、今後は縮小の一途をたどる。16年の出荷台数予測は710万台と、市場規模はピーク時の3分の1まで縮む。


 別の調査会社、米IDCも同様に「11年がピーク」とみるが、縮小のペースはもう少し緩やかになると見積もる。同社の予測によると、11年の年間出荷台数は2640万台で、17年には34%減の1740万台となる。トム・メイネリ調査ディレクターは、「18年以降も継続的に縮小していく」と予測する。
 電子書籍専用端末が縮小する最大の要因は、安価なタブレット(多機能携帯端末)の台頭だ。「電子書籍端末は読書専用。一方で、タブレットは1台あれば、読書はもちろん電子メールのやり取りやネット検索、動画の鑑賞などができる」とメイネリ氏。


アマゾンの電子書籍端末「キンドル」のイベントの様子=2012年9月6日、サンタモニカ(ロイター) 電子書籍端末とタブレットの価格差は縮まりつつある。少し追加で払うだけで多機能な端末が手に入るのであれば、あえて単機能の電子書籍を選択する必要はない。例えば、米国で米アマゾン・ドット・コムは自社の電子書籍端末「キンドル・ペーパーホワイト」を119ドルで販売しているが、タブレット「キンドル・ファイアHD」は199ドル。その差はたった80ドルだ。

 

「スマートフォン(スマホ)の普及も電子書籍端末には逆風」と、米フォレスター・リサーチのアナリスト、サラ・ロットマン=エプス氏は指摘する。「スマホかタブレットか。消費者は今後、その時たまたま手の中にある一番便利な機器を通じて読書することになる」と語る。


三省堂書店神保町本店の電子書籍の店頭販売の様子(東京都千代田区) こうした持ち運び自由な端末の普及で、デジタル化された書籍を読むという習慣は今後ますます広がっていく。フォレスターの予測によると、世界の電子書籍市場(売上高ベース)は12年の94億ドルから17年には375億ドルに急拡大する。電子書籍端末が“廃れた”としても、「電子書籍を読む」という習慣は消費者の間でしっかりと定着する見通しだ。
 業界担当のアナリストらは、電子書籍端末が17年以降は「比較的ニッチな商品になる」との見方で一致する。だが、完全消滅を予測する意見は少ない。5年後には「今の携帯音楽プレーヤーのような存在になる」(ロットマン=エプス氏)との意見が優勢だ。


米国では、公園で電子書籍端末で読書をする人をよく見かける(米ニューヨーク市) 現在、「音楽を聴くのはスマホ」という人が主流だが、大量の音楽ソフトをダウンロードしたいコアな音楽ファンの間では携帯音楽プレーヤーに対する根強い需要がある。同様に、電子書籍端末も「大量に本を読む読書家の間では使い続ける人がいる」とみるからだ。
 では、これから電子書籍端末を買うべきか悩んでいる人はどうすべきか。「読書好きで外出先でも本を読む機会が多い人は、これからでも買う価値がある」(米カレント・アナリシスの調査ディレクター、アビ・グリーンガート氏)。カラー表示を前提としたタブレットは日差しの強い公園やビーチなどでは画面が光を反射するために読書しづらい。
 一方で、白黒画面の電子書籍端末は太陽光の下でも文字が読みやすい。充電した後の電池の持ちも長く、重量も軽い。「ただ普段から読書よりもゲームや電子メールに時間を割く人にはタブレットのほうがお薦め」というのがグリーンガート氏の意見だ。
(ニューヨーク=清水石珠実)

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