20120828

「スローウェブ」:本来の自分を取り戻すために、ゆっくりとネットを使う « WIRED.jp

 

『ニューヨーク・タイムズ』紙のある記事が伝えているように、シリコンヴァレーの経営者たちでさえも、自分たちの創造物の副作用(なかでもインターネット依存、多すぎるメール、過労)について自問し始めたのであれば、恐らくエンドユーザーも考えてみるべきだろう。

このテーマについては、まだ体系的かつ反論の余地のない研究はない。しかし、オンラインでの活動がある種の習慣性を生み出し、取り込まれた人がネットから離れるのを困難にしてしまうことがあるのは確かだ。結果として、自身の精神的な不安定さだけでなく、家族や同僚との関係でも苦しむことになる。

 

http://wired.jp/2012/08/27/slow-web/

最近、「インターネットはわたしたちを発狂させるのだろうか?」というタイトルを付けた『ニューズウィーク』誌のように極端ではなく、また、インターネット依存の現象がより広がっているからといってテクノロジーを悪魔扱いすることもなく、人々はその対抗手段を探し始めている。

アメリカでは、ツイッターやグーグルのような企業が、その対策として瞑想のコースや意識的思考のセミナーを従業員のために設けている。2010年からは毎年、アメリカのウェブ多国籍企業の経営者たちが、個人の生活と新しいテクノロジーのバランスというテーマを議論する会議Wisdom 2.0に集まっている。

そしてイタリアでも、テクノロジーが人間に奉仕するのであって、人間がテクノロジーに翻弄されるのではないことを改めて認識し、個々人の関心を正常な状態に戻すことを目指している大小の団体が生まれつつある。新しいコミュニケーションツールを責任をもって消費することを促進しようと提案する運動、「スローコミュニケーション」のような団体だ。

これは、政治家のアンドレア・フェッラッツィ(ヴェネト州議会副議長代理)のアイデアから生まれ、この種の哲学の2つのパイオニアとなっているスローフードやスローシティにインスピレーションを得ている。そして彼らとともに奨学金や公的イヴェント、その他の国内での取り組みを促進するために協定を結ぼうとしている。

フェッラッツィは説明している。「個人であれ、集団であれ、インターネットの無自覚な利用がもたらす影響について取り組む運動を誕生させようという考えを思いついたのは、ウェブと民主主義の関係についての報告のために研究していたときです。これは、次のイタリア政治学会の全国大会で発表するつもりです」。

彼は続ける。「議論の余地のない恩恵がある一方で、インターネットは人的資本と社会的資本にネガティヴな結果を呼び起こす可能性もあることに気づかなければなりません。例えば、民主主義制度の機能にも不可避的に影響があるでしょう」。

例えば、もし個人がマルチタスキングや、イーライ・パリサーが説明している「フィルターバブル」によって分析や掘り下げ、批判の能力を失うならば、どんなことが起こるだろうか? 絶え間なく情報の流入によって爆撃を受ける人は、重要な要素を重要でない要素から区別するのに苦労して、聞いたり理解したりする能力を失うというのが、「スローコミュニケーション」の主張である。ここから、速度を緩める必要が生じる。

フェッラッツィは強調している。「インターネットを被告台に上げて叩こうというわけでも、ノスタルジーとともに過去を眺めているわけでもありません。インターネットはわたしたちの生活の一部です。そしてこのために、わたしたちは責任と自覚をもって利用することを学ぶ必要があるのです。常にネット接続するのを避け、適切な休息を取って、途切れることのない情報の流入から身を守るべきです。常に時速100kmで走ることはできません。でないと最初のカーヴで少し苦しくなって道路からはみ出してしまう可能性があります」。

歩みを緩めることは、トリノで生まれた運動、「スローウェブ」の目的でもある。そのガイドラインは、コミュニケーションの専門家、ジョルジオ・フォンターナによって作成された。フォンターナは「スローウェブ」のマニフェストに書いている。「わたしは、新しいテクノロジーの受け入れに少しだけ厳しいアプローチを取ることを『スローウェブ』と呼びたい」。

批判的に受け入れることとは、つまり、テクノロジーの押しつけがましい提案が必要かどうか、ハイテク情報がわたしたちに提案するシナリオが本物かどうか、未来の可能性、イノヴェイションを福祉と幸福に転換できるかということについて自問することだ。

要するに、わたしたちが自らの活動の責務を新しいテクノロジーに委ねるたびに、ひょっとしたらわたしたちの「自分」の感情の一部を放棄しているのではないか、そしてその価値があるかどうかを問うてみるということだ。

TEXT BY FEDERICO GUERRINI
TRANSLATION BY TAKESHI OTOS

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