201204224

 

 

分科会4

 

復興に向けた教育からこどもたちの未来を考える

 

こども環境学会2012年仙台大会

 

   22日の分科会4「復興に向けた教育からこどもたちの未来を考える」では、「東日本大震災から1年経過し、復興に向けてどのような取組みがなされてきたのか、岩手、宮城、福島の各大学から報告」がされた。

 

 岩手大学教育学部副学部長の新妻二男教授(岩手大学三陸復興推進本部)から「岩手大学の震災復興支援活動について」として、発災時から現在の支援、教育支援まで報告がなされた。

 岩手大学は大学も教職員・学生なども被災した中で県内の三陸沿岸部を中心とした地域へ物資もふくめた支援や調査を行ってきたが、2011年4月1日には岩手県湾岸復興復興プロジェクトを開始し、10月には岩手大学三陸復興推進本部を設置して将来を見据えた復興支援を行っている。

 今回の報告はこの中の一部の「大槌町・釜石市での中学3年生対象の学習支援」であるが、この学習支援は岩手大学を始めとした5大学のコンソーアム、各地教委、そして県外のボランティア、NPOなど連携して取り組んでいる。

 これらを、同大では学生教育の一環として行っているが、単位化だけでなく、事前事後指導もふくめて教育として行っている。

  大学から三陸沿岸部が遠く、被災地には被害を受けて集会場などの施設も少ない中、多くの学生が現地に赴ている。

 学生達はこども・生徒とふれあう中で、地元の大学生だから出来ること、年齢が近いからできることを感じ、被災地のこどもたちやその姿勢から学ぶことがあると述べているという。

 こどもたちとの関係、支援に入っているNPO、その他のセクターの関係などいろいろと問題はあるが、これらの支援を地域のニーズに応じながら学生の主体性を確保しつつ、今後も発展的継続して行っていきたいとのこと。

 

 宮城教育大学の松岡尚敏教授からは「宮城教育大学における復興支援の取組み」として、学生がボランティアを通じて成長して行くという教育と被災地のこどもたちの教育を支援する教育というふたつの教育についての報告があった。

 2011年4月5日にはみやぎ・仙台未来づくりプロジェクトを開始し、6月28日にはこれを発展させた宮城教育大学教育復興支援センターを設置して復興支援を行っている。

 ここでは事業として「教育支援塾」、「教員補助」、「教員等研修」、「こどもイベント補助」、「心のケア」、「こころざし・キャリア教育」を、同大の学生ばかりでなく、県内や全国の教員養成系の大学、学部から参加した学生等をコーディネートして取り組んでいる。

 これらふたつの教育を通して、次世代の教員の養成を行うとともに、新しい教育をつくり出したいという。

 


 

 福島大学人間発達文化学類の三浦浩喜教授から「子ども支援ボランティアと福島の子どもたちの現状」として報告があった。

 福島大学は東日本大震災総合支援プロジェクトを実施しているが、人間発達文化学類としての教育支援プロジェクトとして、こども支援ボランティア<未来のたね>、復興教育支援事業、大震災後の教育復興をすすめる会などを行っている。

 教育支援プロジェクトは、発災時から8月までは福島市や郡山市の避難所での学習支援や遊び、9月からは仮設住宅での学習支援をすすめていたが、移転を余儀なくされる生活、転校に次ぐ転校、他地域ヘの流失の中で、こども環境の悪化が問題となった。

 このような環境の中でつながりをもてない「断片化した人間関係」、8割に及ぶ学校履修計画の未達、進学の断念などこどもたちの未来が見えない状況と荒れるこどもたちの問題に直面したという。
 そこで、2012年4月からこどもたちを福島大学のキャンパスに招いての学習支援や遊びを行う事で、こどもたちがいつもいる学生たちと継続的な関係を築くことができ、長期にわたって支援が行える環境を整えたという。

 サポートを得て健気にかんばるこどもたちが抱える問題は大きい。

 現に「結婚できないんでしょ」、「どうせこども産めないんでしょ」と言うこどもたちもいる。

 

 宮城教育大学の田端健人准教授からは「3.11から考えるこどもと環境 ーあの時、その後、これから」として.聞き取り調査「教師たちの3.11」をもとに、思索を重ねた報告があった。

 教師たちの震災時の貴重な体験やこどもたちの姿を述べ、「現在も岩手、宮城、福島の3県で46校が間借り」(4/6河北新報)、進路決定もできないなどのその後のこどもと学校の状況を語った。

 そして、これから主体的・適切に判断し行動する力の育成が必要と述べ、そのために、子どもが浴びる「光」と子どもを守る「影」がいると言う。

 それは、こどもが「成長するためには・・・、暗がりの安全防御を必要とする」(ハンナ・アーレント)、そして、こどもがパプリックな場で活躍し脚光を浴びること。

 

 コーディネータの山形大学地域教育文化学部の佐藤慎也教授は、現在進行中の山形大学の「こどもと築く復興まちづくり」の立案調査の中間報告をしながら、2011年から始まるゼロからのまちづくりの担い手のこどもたちが青年・おとなになるロードマップを提示した。

 

 

 最後に、学生ボランティアと寄り添ってきた松岡教授の言葉を引用する。


 「厳しい現実」と「表面的には元気なこどもたち」と「心の奥に傷を負いつつ懸命に生きている子どもたち」という二つのギャップに向き合うことによって、学生たちは、他者に寄り添うことが「絆」の原動力になることを感じている。

 

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