節電すれば、原発はいらない?!
文・荻原博子
夏場の電力が足りないということで、原発の再稼働へ向けた議論が進められています。でも、本当に原発がないと、電力は不足するのでしょうか。
東京電力の例で見ると、昨年の夏の最大需要は、8月18日に記録した4922万キロワットでした。これに対して、東電が用意した最大の供給量は5460万キロワット。この中には、当時稼働していた柏崎刈羽原発の5号機、6号機の2基で245万キロワットという電力も含まれています。ですから、この原発2基分の電力を差し引くと5215万キロワット。原発なしでも、ここまでは供給できるということです。
つまり、昨年並みの電力の使用料なら、ピーク時でも293万キロワットも余ることになります。これは、原子力発電所なら、2~3基分。
よく引き合いに出されるのが、一昨年の猛暑には、5999万キロワットだったので、猛暑になったら足りなくなるということ。けれど、気温で見てみると、昨年、最高に電気が使われた時の気温は36度で、一昨年も電力消費のピーク時の気温は36度前後でした。ですから、一昨年が猛暑だったから大量の電気を使ったのではなく、一昨年に比べて、みんなが電力を節約した結果、なんとピーク時の電力を1077万キロワットも減らすことができたと言うべきでしょう。
しかも、その後、停電騒ぎや東電の電気料金値上げに反発した自治体や企業などが、続々と契約をPPS(特定規模電気事業者)に替えたり、自家発電を始めています。東電に依存しなくてはならない率は、ますます下がっているので、そのぶん、使用電気量も減っていくはずです。
電力のピークというのは、夏真っ盛りの一週間程度で、それも昼間の11時から2時ごろまで。そのわずかな20~30時間の電力を確保するために、安全とは言えない原発を稼働させるというのは、なんとも腑(ふ)に落ちない話。
去年のように、みんなで節電すれば、夏は何とか乗り切れるでしょう!
http://www.asahi.com/business/topics/ogiwara/TKY201204110172.html