3月21日、新しい働き方研究会の例会の「クラウド時代の働き方」が川越市で行われた。
新しい働き方研究会は川越コミュニティカレッジから生まれた研究会で2006年から働き方について研究をしている。
今回は、長岡素彦がクラウドコンピューティングおよびクラウドソーシングが変えつつある働き方などについて語った。
まず、10年前に自ら書いた文章から引用(下記)から始め、その後のプロセスついて説明した。
「ネット広帯域常時接続(ブロードバンド)」の時代に入り、ストリーミング放送や「ヒデオやDVDや音楽はこれらのネットから取り込み(ダウンロード)してCDやシリコンチップ、磁気メディアなどに記憶して視聴することができます。(中略)
これがメディアにひとつ重要な変化をもたらします。それはメディアの「双方向性」ということです。
つまり、今までのメディアでは一方的に「受け手」であった人々が「送り手」にもなれます。もちろん仕事としてもいろいろな可能性があります。
ただ、いいことばかりではありません。情報格差や情報弱者の問題はますます拡大するでしょうし、ネットの安全性やプライバシーの問題も大きくなります。」(2002/1/1 S-Reportより)
この10年の間に起きた変化を、2002年から係ってきた国連地域開発センターの「持続可能な地域開発におけるICTの活用戦略」や 03年からのWSIS 国連世界情報社会サミット(2003ジュネーブ/2005チュニス)の内容、また、環境社会化「サステナブルシフト」と高度情報社会化「スマートシフト」とクラウドコンピューティング、クラウドソーシングについて説明した。
次に、今回の震災に際して設立した情報支援プロボノ・プラットフォーム(iSPP)の東日本大震災情報行動調査について説明し、衣食住と同じように情報の重要性を述べ具体的に内容や現在の震災における情報の意味を述べた。
一例を言えば「地震発生から時間が経過するにつれ、利用された情報機器や情報源は大きく異なった。地震発生直後は、ラジオやワンセグ放送が利用できたが、テレビ、インターネット、携帯はほとんど利用できなかった。1週間程度から1カ月程度までになると、テレビ、新聞などが役に立った。」などであり、残念ながら前世紀的なシステムは役に立たなかった。
また、1995年の阪神淡路大震災と2011年の東日本大震災の情報環境を比較し、情報通信手段の多様化、ソーシャルメディアによるコミュニケーションの増大などの特徴を述べた。
近年、ソーシャルネットワークシステムが係っておこったチュニジアのジャスミン革命、リビア、エジプトの変革をクラウドコンピューティングおよびクラウドソーシングによるソーシャルパワーシフトとして説明し、震災対応で起きた日本のソーシャルパワーシフトについて述べた。
「CASE STUDY “AFTER 311”」では、その具体的検証として3つの事例を語った。
国民の税金で原子力事故のためにつくり、運営している「放射性物質の拡散状況を予測するシステム」のSPEEDI(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)を運用する原子力安全委員会が、3月14日には把握していた放射能拡散の試算結果を公表したのは
3月23日で、この公表の遅れによって福島の住民避難に生かせず、無用な被ばくを招いた事例を取り上げ、前世紀的な巨大システムの問題点と、その原因を解説した。
掲示板で書き込みに明け暮れる2ちゃんねらーが震災に際して行った被災者救出作戦「共同編集被害リアルマップ東北地方太平洋沖地震」の事例を取り上げ、彼らがクラウドコンピューティングおよびクラウドソーシンを使いこなし、リンクし(つながって)達成で出来た事を述べた。
東上線NPOネットの内閣府 新しい公共支援事業で提案、実施した「地域共創・ NPOインターンシップによる学生のキャリアづくりとNPO地域起業」でのクラウドコンピューティングおよびクラウドソーシングの使い方を述べた。
最後の「BOX or LINK ?」では、ソフトバンクのTwitter、AKB48のAKB48 Now on Google+の事例を語りながら、高度情報社会の情報構造の変化、前世紀的な巨大システムの中での働き方の問題点とクラウドコンピューティングおよびクラウドソーシングによる新しい働き方を述べた。
その後、参加者と今後の働き方や災害時対処、そして、メディアのあり方などを論議した。