20111124

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 スローレポート 『S−Report』 (11/24号)

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 放射能の除染は国が行うというものの進展が遅い現実、国の除染を待っていられない自治体や住民による除染の活動、そして、環境省が情報提供している除染ボランティアには希望者もいます。
 除染、除染ボランティアについても、ふくしま会議で論議されました。福島での主に被爆および周辺地域の人や自治体の意見も紹介しつつ、除染・除染ボランティアの問題点を述べます。

◆◆◆   除染・除染ボランティア   ◆◆◆

◆除 染◆

◆政府の方針

1.除染は国の責任で行う
 2013年8月に被ばく半減
 放射性物質汚染対処特別措置法基づく除染や汚染廃棄物処理に関する閣議決定 
 
2.実施にあたって除染推進に向けた考え方・方針と市町村による除染実施ガイドラインによる

「3.除染の進め方」の「(1)基本的考え方として」では「(2)線量の水準に応じた地域別の対応」として以下に3区分します。

(ア)避難指示を受けている地域
(イ)その他追加被ばく線量がおおむね年間1から20ミリシーベルトの間の地域
(ウ)追加被ばく線量がおおむね1ミリシーベルト以下の地域

① 推定年間被ばく線量が20ミリシーベルトを超えている地域を中心に、国が直接的に除染を推進することで、推定年間被ばく線量が20ミリシーベルトを下回ることを目指します。
 ② 推定年間被ばく線量が20ミリシーベルトを下回っている地域においても、市町村、住民の協力を得つつ、効果的な除染を実施し、推定年間被ばく線量が1ミリシーベルトに近づくことを目指します。
 ③ とりわけ、子どもの生活圏(学校、公園等)の徹底的な除染を優先し、子どもの推定年間被ばく線量が一日も早く1ミリシーベルトに近づき、さらにそれを下回ることを目指します。

◆政府の除染事業

 調査、モデル事業を行い、効果が確定したら公共事業として発注する。
 現在、調査・制度整備が終わり、11月7日に独立行政法人日本原子力研究開発機構の「警戒区域、計画的避難区域等における除染モデル実証事業」公募結果が決定され、警戒区域、計画的避難区域などに指定されている12市町村で「モデル事業」が開始される。
 
 
◆自治体と住民
 
自治体としての2つの方向
 
早期除染をしないと影響が大きいので至急したい。
 
 飯館村などー国の除染を待ってられないので村で予算を計上して行う 
 他の自治体ー国の除染待ち、低レベルゾーンは住民の除染
 
住民の被災後の生き方の3つの方向

・除染して住む
 住民が自分たちで被爆しても除染を行う

・避難後、除染して住む
 
・避難
 除染をしないで脱出する
   
 
◆除染ボランティア◆

◆除染ボランティアが安全とされる放射線の数値について

 放射線の影響に閾値があるかどうかについては、長年にわたって論争が続いています。

 除染ボランティアは、その場所や時期を、政府は仮に国際放射線防護委員会(ICRP)の防護体系3(事故後の回復や復旧の時期等 現存被ばく状況)として基準を決めていまが、その時期(フェーズ)か、また、その数値が妥当という根拠に疑問があります。

 政府の基準は、今までの経緯からみると疑問が多い。政府がこどもの年間許容値を、いきなり20ミリシーベルト(mSv)とした時は、国民からおかしいの声があがり、その後、撤回しました。
 この20ミリシーベルト(mSv)基準を助言したことになっていた本間俊充氏((独)日本原子力研究開発機構安全研究センター研究主席・放射線防護学)は「私は(緊急事態応急対策調査委員として)原子力安全委員会に詰めていたんですが、(子どもについても)20mSv/年が適切か、ということに関しては、私は『適切でない』と申し上げたんです」と江川紹子氏のインタビューで述べている。

 政府は、この時期が国際放射線防護委員会(ICRP)の防護体系2(事故や核テロなどの非常事態 緊急時被ばく状況)として20mSvを主張したようですが、仮に防護体系2としても世界的に妥当性があるとは言えません。
 いろいろなところが疑念を提起され、アメリカの「社会的責任のための医師の会(PSR)」も米科学アカデミーの研究を基に子供の発がんリスクを高めるもので、 このレベルの被ばくを安全とみなすことはできない」としています。
 

◆政府、または、自治体、住民の除染、除染ボランティアへの対応

政府の対応
 
・政府は除染レベルの高いところを調査、モデル事業を行い、効果が確定したら公共事業として発注する
・その他は自治体や住民が検討しね実施を妨げない
・除染ボランティアに情報を提供する
 
ガイドラインでは、「4.除染作業の実施にあたって」で「生活圏の清掃に関する被ばくについては、生活環境中の特定線源を除去するための清掃活動を実施しても、追加的被ばく量は比較的小さい」として、「念のために以下のような作業上の留意事項を守っていただければ、住民の方々であっても安全に作業していただけます」
 

除染ボランティアの情報提供について
 
・政府の除染ボランティアの保険についての問題
 
「4.ボランティア保険及び放射線被ばくに関する留意事項」には
「ボランティア活動中の様々な事故による怪我や損害賠償責任を保障する保険がありますので、保険の補償の範囲(通常、放射線被ばくは保険の対象外) や保険費用を踏まえて、ご加入・ご更新をお願いします(原則、自己負担です)」とあります。

 自己責任で保険をかけて、その保険は「放射線被ばくは保険の対象外」、そして、従来の法令やこの事態にともにない制定された法令ともに保障は明記されていないです。一般の怪我を想定している国内ボランティアとは違うことを考慮してないです。

・政府の除染ボランティアに参加する際の一般的な留意事項の問題点

「使い捨ての防塵マスク(数組)」とありますが、効果のない市販のマスクでは意味が無いです。また、専用のマスクの使い方も実は厳密に使うのはそれなりの訓練無しでは難しいです。


■除染ボランティアの問題点

★除染ボランティアが安全にできるとされる政府の放射線の被爆数値の基準についての疑問が多いです。

★除染ボランティアは自己責任で、現地の状況(作業やる人任せ)で除染実施において安全が確保されるかについては疑問が大きいです。

★そもそも、政府の除染・除染ボランティアは、情報提供での情報提供の責任を考慮しない、また、情報提供した結果は除染で引き起こされた事はすべて自己責任です。

1.国の委託実施でもリスクについては検討中
2.自治体が実施するなら自己責任
3.ボランティアがするなら自己責任


◆参考
 
・飯館村での村の職員への聞き取り

 除染は飯館村としては被爆の問題があり、ボランテイアではなく
 1.村の事業として行う
 2.その経過をみて、お願いできるところはボランティアにお願いしたいが、リスクをクリアにしてから。

・自衛隊と捜索作業した建設会社の社長への聞き取り

 労働基準監督所や省は、作業をするにあたり労災の話ばかりである。
 同じく、被爆については見解を求めているがたが、未だに返事は無い。
 言わなければ、防護服も支給しなかったし、線量計はなかった。
 自衛隊は人が交代して作業したが、私たちはずっと従事した。
 言わなければ、放射線被害の健康測定もしてくれなかった。
 社員とよく話し合い、仕事を請け負ったが責任は私にある。


参考「除染」

1.除染は国の責任で行う
2.除染推進に向けた考え方・方針
3.市町村による除染実施ガイドライン
http://www.slowtimes.net/2011/11/20/201111201/


参考 「除染ボランティア」

http://www.slowtimes.net/2011/11/20/201111202/


参考 「発言」
 
「命が大切」というのは正論。しかし、その犠牲になるのもここの住民なんです
  ――飯舘村・菅野典雄村長

「『適切でない』と申し上げた」~”子どもにも20mSv/年”問題と放射線防護学の基礎
本間俊充氏((独)日本原子力研究開発機構安全研究センター研究主席・放射線防護学)



★最後にブログ「ふくしまで深呼吸したい」を紹介します。

ふくしまで深呼吸したい

それに離れたから、福島がどういう扱いかが見えてしまう。
福島にいると、福島はもう普通だと錯覚しがちかもしれない。
でも県外の方にとっては、「かわいそうな県」「もう行けないし行かないところ」
「物も買いたくないし、人も避けたいところ」になりました。
鎖国のようです。
被害を被ったのに、忌み嫌われる。

なのに福島市の人は言います。
「津波で亡くなった人を思えば・・・」「家がなくなった人を思えば・・・」
「強制避難区域の人を思えば・・・」
「原発で作業してる人を思えば・・・」
「生きてるだけでありがたい」「家があるだけありがたい」「住めるだけでありがたい」。

そうだけど!
確かにそうなんだけど。
原発に作業に行かなければ、言う資格がないのかと、
私もそう思って、黙ってしまうこともあった。
今までの価値観なら、“ないものを嘆くより、あるものに感謝”でした。
愚痴も泣き言もあるけれど、自分の努力で前向きに。
でも、今回は“私事(わたくしごと)”ではない。

福島の人口は日本全体の1.6%です。
宮城・岩手と合わせても5%。
東日本に放射能の不安はあるとはいえ、福島は特別の被害です。
西日本なんて、まったく普通ですよ。
日本の大半の人は、原発事故で傷ついたり悩んだり、失ったりしてない。
福島の人だけがなぜそこまでしあわせの基準を落とさなければならないの?

それに亡くなった方は、言いたいことがあってももう何も言えない。
同じ福島県民として、今生きている私たちは言ってもいいんです。
というより私は、言わなくてはと思う。

放射能の事故は、日本の問題・世界の問題です。
政治・経済のエゴイスティックで恐ろしい膿はあちこちに隠されていて、それがたまたま福島で露呈した。
にも関わらず、まだ政府は隠そうとしている。
地方行政も同じ。
国民県民は守られない。

ふくしまで深呼吸したい
http://blog.goo.ne.jp/utukusima/e/c4a2f468c4aa0e11a592692f2cb57958?fm=entry_awc

◆◆◆             ご案内              ◆◆◆


 ESDカフェatソノツギ

  持続可能な社会づくりのための学び合いのためにESD

 今回は、持続可能な社会をつくるために学生の参画を取り上げ、コミュニケーションカフェ「ソノツギ」で気軽なトークセッションを行います。

 内容は、学生の地域との関係を調査・研究している大学院生が学生の地域参画についてデータと調査にもとづいて話すものです。

 場所は、『地域の縁側』と『LOHAS』(Lifestyles of Health and Sustainability)、つまり環境と健康に配慮した持続可能なライフスタイルの提案と実践の場として市民と学生によって作られたソノツギです。

 宇都宮大学院生の渡邊 真弓さんには山形大のもがみエリアキャンパスに関わる学生の意識や行動の調査をお話頂き

 千葉大学院生の高瀬唯さんには、学生の自然保全活動の参画にかかわる活動の調査をお話頂きたいと思います。



日時 12月6日(火) 午後1時から3時半

場所 コミュニケーションカフェ「ソノツギ」宇都宮市

  http://www12.plala.or.jp/keith7/sonotugi/sub7.html  
駐車場がありませんので、公共交通機関・自転車・徒歩でお越し下さい。
バスでは東野バス・JRバスでは平松または宇大前、関東バスでは宇都宮大学前で下車。


ソノツギとは
http://www12.plala.or.jp/keith7/sonotugi/index.html


「コミュニティ・カフェと市民育ち : あなたにもできる地域の縁側づくり」
陣内雄次, 荻野夏子, 田村大作著 萌文社

共催 ESD学校教育研究会 宇都宮大学 陣内研究室


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