楽天がカナダの電子書籍事業者 Kobo の買収方針を発表しました。楽天が Kobo の全株式を買い取り、完全子会社とする計画です。買収額は3億1500万ドル、日本円で約236億円。手続きはカナダ政府の承認を待ち、2012年第1四半期にまとまる見込み。
Kobo は日本ではあまり有名とは言いがたい企業ですが、おひざもとのカナダをはじめ、米国や欧州など、100か国以上で電子書籍事業を展開しています。自社製端末としてタッチフレンドリーな Kobo eReader Touch Edition や、ソーシャル機能を重視したカラータブレット Kobo Vox などを販売中。あわせて iOS や Android
など他のプラットフォーム向けにも電子書籍アプリも通じてコンテンツを提供しています。そういえばアップルの外部ストア規制強化のあおりを受けるというニュースもありました。
一方、以前から電子コンテンツを販売していた楽天は、先日あらためて電子書籍ストア Raboo を立ち上げたばかり。パナソニックや紀伊国屋、ソニーと連携のもと、共通プラットフォームの実現を目指しています。Kobo の買収により、楽天は海外向けコンテンツ、そして Kobo
が提携する書店や小売店といった各国での販売チャンネルを一気に確保することに。電子書籍に限らず、楽天の海外事業拡大に向けた足がかりとして期待がかかります。
もちろん Kobo eReader や Kobo アプリの日本語版投入といった展開も期待したいところ。国内各社の腰が重いなか、楽天が今になってこれほど電子書籍に力を入れるのは驚きですが、思えば電子書籍分野の世界ナンバーワン企業もECサイトが本業なわけで、ある意味ではぴったりなのかもしれません。