協同総研研究フォーラム
『森林活用から考える-暮らしと仕事』
10月10日、東京の明治大学で協同総研研究フォーラム『森林活用から考える-暮らしと仕事』(共催:協同総合研究所 日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会 )が行われた。
開催挨拶の後に、山形大学農学部教授の菊間満氏が、震災以降の社会では古い社会のパラダイムが無効になりつつあり、新しい社会を今日の事例の様なボトムアップの実践によって構築できるという。
今回の森林や森林に伴う仕事について言えば、FAO(国際連合食糧農業機関:Food and Agriculture Organization of the United Nations)や政府の森林・林業基本計画やILO(国際労働機関:International Labour Organization)の政策などの問題点を指摘し、その可能性を論じた。
『海人ぬ宝 山人ぬ宝! 高齢者よ!食べて、働いて、楽しもう!』 として沖縄県のクライヴ林産企業組合相談役の佐藤克彦氏が実例を述べた。
『C材で晩酌を!副(複)業型自伐林家のすすめ』 として高知県のNPO法人土佐の森・救援隊事務局長の中嶋 健造氏は、自伐林をコアにした展開を語った。
今の大規模集約型の林業やそれを補完する中規模林業が、山の仕事を苛酷にしているばかりでなく、大規模営林による森林への弊害について述べた。
また、土佐の森・救援隊が実現して来た副業型の小規模林業により森林が保全され、多くの人が収入を得たことなどを説明しながら、必要な事は「自分の山は自分で管理する。できない場合は 地域の協同の力で山を保全する」と述べた。
単に、伐採だけでなく、C材(残材)のバイオマス利用などでの資源の完全利用を図り、その普及のため、自伐林家養成塾行い、全国で山林所有者だけではなく都市住民などだれもが参加できるなどできる仕事の仕組みを作り上げた。
『もう待てない!自分たちで隣町を救おう!!震災4日後から始まった木造仮設住宅の取組み』 として岩手県住田町町長の多田欣一氏は、林業衰退の中にあって持続可能な森づくりと気仙大工と呼ばれる伝統技術により木を産業とする政策を行って来たことなどを述べた。
東日本大震災の際、隣接する被災地に町内の産杉材で町内での一貫生産の木造仮設住宅を建設した。
もちろん、これは木を活かしたまちづくりの成果であるともに、以前から海外の被災地などに木造住宅を提供するプロジェクトを推進しており、今回はこれを活かしたものだという。