201104273

スペインで社会的経済法が可決・施行

Miguel Yasuyuki Hirota氏より


Online Laboratory on Complementary Currencies JAPAN
スペインで去る3月17日に社会的経済法が可決・施行されたとのこと。
社会的経済法とは資本よりも人間および社会的目的が優越する社会的経済の団体とその活動を定めたものである。 
社会的経済法 条文(スペイン語)
http://www.boe.es/boe/dias/2011/03/30/pdfs/BOE-A-2011-5708.pdf

訳文 Miguel Yasuyuki Hirota


 

訳 Miguel Yasuyuki Hirota
第1条: 目的

この法律は、社会的経済を構成する団体全てに対して、それぞれに適用される具
体的な規則を完全に尊重した上で共通の法的枠組みを制定することに加え、これ
ら団体に固有の目的および原則を考慮して、これら団体のためになる推進措置を
規定することを目的とする。

第2条: 概念および名称

社会的経済とは、民間部門において、第4条にまとめられている原則に従って団
体が、構成員への全体利益に加えて経済的利益一般、あるいはその両方を追求す
る一連の経済・企業活動を指す。

第3条: 適用範囲

この法律は、スペイン国内において活動を行う社会的企業の団体全てに適用され
る。ただし、各自治州が持つ権限を侵害するものではない。

第4条: 方針原則

社会的経済の団体は、以下の方針原則に従って行動する。

a) 資本よりも人間および社会的目的が優越。これは、各個人の出資額よりも個
人が団体に対して提供する職務および労働貢献、あるいは社会的目的が意思決定
においてより重要視される、透明で民主的そして参加型の自主運営で具現化される。

b) 幻想として団体の社会的目的に向けて組合員あるいは会員が実施した業務あ
るいは活動に応じた、経済活動の成果の配分。

c) 内部連帯、地域発展への取り組みを推奨する団体との連帯、男女機会平等、
社会的紐帯、社会的疎外の危機にある個人の包摂、安定して良質の雇用の創造、
個人生活・家族生活・業務生活および持続可能性との調和の推進。

d) 行政からの独立。

第5条: 社会的経済の団体

1. 社会的経済を構成するのは、経済活動を実施する協同組合、共済組合、財団
および非営利団体に加え、労働組合、包摂企業(訳注:失業中の若者や障害者な
ど、雇用が得られにくい人たちに対しての雇用創出を目的とした企業)、雇用セ
ンター、漁業組合、農業組合、そして前条で規定された原則に制御される独自の
規定を持った団体である。

2. また、業務規則が前条で規定された原則に対応し、この法律の第6条で規定さ
れている団体一覧に含まれる形で企業経済活動を行う団体も、社会的経済を構成
する。

3. いずれの場合でも、社会的企業の団体は、独自の規定によって運営される。

第6条: 社会的経済の団体一覧

社会的経済推進評議会からの通告を受けて労働移民省は州政府と共同で、さまざ
まな種類の社会的経済の構成団体の一覧を作成および更新する。この際にこの法
律で規定された原則に配慮し、州における既存の一覧と調整を行う。

社会的経済の団体一覧は公開されなければならない。公開は電子的手段を通じて
実施される。

第7条: 組織と代表

1. 社会的経済の団体は、その利益を代表および擁護するために連盟を構成する
ことができる。これら連盟は独自の規則で、あるいは結社の権利を管轄する3月
22日の組織法第1/2002号に従って結成できる。

2. 全国異業種代表連合は、以下の要件を満たすものとする:

a) 少なくとも、この法律の第5条で定められた団体の過半数の種類を含む。

b) この連合がa)の要件を満たす場合、直接加盟、あるいは代表手続きを行う異
業種連合への中間組織を通じて、全企業あるいは団体の少なくとも25%を代表する。

c) 当該の連合が含み、第5条で規定された団体の種別のうち少なくても過半数に
おいて、代表手続きを行う異業種連合への加盟を通じて、各部門の全企業あるい
は団体の少なくとも15%を代表する。ここでの代表手続きは、a)およびb)の要件
を満たす連合への代表手続きを意味する。

3. 全国を代表する異業種連合は、スペイン政府一般行政局の中でも経済的およ
び社会的利害に影響する問題を担当する制度参加組織に代表を送る。同様にし
て、社会的経済の団体の大部分を包括する全国団体は、その法的性格および活動
に適切な全ての代表活動分野において、一般行政局の組織に代表を送る。

4. また、各州を代表する組織、連合および連盟も各州政府が規定する形で、州
政府の行政の中でも経済的および社会的利害に影響する問題を担当する制度参加
組織に代表を送る。

第8条: 社会的経済の推進と普及

1. 社会的経済の団体およびその代表組織の推進、支援および発展は、一般的な
利益として認定される。

2. 各権限の範囲内において行政は、社会的経済の推進を目的とした政策を実施
する。それらには、以下のものが含まれる。

a) 社会的経済の団体の経済活動の開始および発展を妨げる障害の除去。この目
的で、社会的経済の団体創設のための行政手続きの簡素化に特別な配慮が行われる。

b) 社会的経済のさまざまな取り組みの推進。

c) 社会的経済の原則および価値観の推進。

d) 社会的経済の団体の枠内における人材育成および職務再適応の推進。

e) 社会的経済の団体の企業家に対し、技術・組織革新のプロセスへのアクセス
を簡素化。

f) 社会的経済の枠組みにおいて、経済的・社会的取り組みの発展を促す環境を
構築。

g) 失業、女性、若者および長期失業によりとりわけ影響を受けている部門を特
に支援する目的で、雇用の積極的政策に社会的経済の団体を関与させる。

h) 教育計画のさまざまな段階において、社会的経済への言及を行う。

i) 地域発展、依存および社会的統合などの分野において、社会的経済の発展を
促進する。

3. この法律の実施のためにスペイン政府は労働移民省を通じて一般的に、その
領域において社会的経済の推進・普及および人材育成の活動の実施を行う。ただ
しこれは、経済・企業および社会的活動の関係において、社会的目的の達成のた
めに社会的経済の団体を発展させる他の官庁の権限を損なうものではない。

4. 社会的経済の推進活動の発展において、州政府の権限が尊重される。社会的
経済の推進活動の発展のために州政府と共同で、協力に必要な機構がスペイン政
府から推進される。

第9条: 社会的経済促進評議会

1. 社会的経済促進評議会はこの法律の規定に従って、社会的経済に関連した活
動に対する諮問・助言期間として運営される。これは労働移民省を通じて一般行
政局に統合されるが、一般行政局の階層構造に組み入れられるものではない。こ
れは、社会的経済と一般行政局の協力・調整および対話の組織として活動する。

2. 付与された権限およびこの法律の範疇に従い、同評議会は以下の機能を持つ:

a) 社会的経済の団体に影響を与えるあらゆる法令上の規定に関して通告し、プ
ロジェクトの作成に協力する。

b) 労働移民省およびその他の官庁から要請された場合には、報告書を作成する。

c) 前述の報告書の作成後にこの法律の第6条に基づき、労働移民省の社会的経済
の団体一覧の作成および更新に協力する。

d) 社会的経済の発展および推進のプログラムを通知する

e) 社会的経済に影響を与える問題点に関して、そして特に社会的経済の啓蒙活
動、行政機構の存在および国際的展開に関して、研究および報告書を作成する。

f) この法律の方針原則の推進および尊重を監視する。

g) この法律の付加条項第1条の規定に従い、社会的経済の団体の統計情報の措置
の採用において、報告書を作成する。

h) その他、法令の規定により付与される機能および権限。

3. 社会的経済促進評議会は、一般行政局、各州政府行政局、地域を最も代表す
る組織連合、全国を代表する業界間連合、および前述の業界間連合に代表が存在
せず、この法律の第5条で言及されている社会的経済の過半数の分野の団体、最
も代表的な労働組合、そして社会的経済の範疇で労働移民省が任命する5名の著
名人から構成される。

4. 社会的経済促進評議会の議長は、スペイン政府雇用局長とする。

5. 同評議会の機能および構成は規制を受ける発展の対象となり、公共行政およ
び共通行政手続きの法的制度に関する11月26日の法律第30/1992号および一般行
政局の組織および機能に関する4月14日の法律第6/1997号で結成される組織に関
する規定で調整される。

 

 

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