20130518

フューチャーセンターは被災地、地方、そして日本社会を救うよ。

 

 

 今日はフューチャーセンターについてお話します!この、耳慣れない、けれど何か期待させるもののある(人によっては、うさん臭く感じさせる?)システムの名称を、みなさんは知っていますか? フューチャーセンターとは、システム(仕組み)の名称

 

     フューチャーセンターは被災地、地方、そして日本社会を救うよ。


「センター」という語感から誤解しがちなのですが、フューチャーセンターとは、施設(ハコ)の名前ではないし、手法の呼び方でもありません。例えば『学校』と『塾』の違いを考えてください。勉強を教えるという観点では、両者は共通するものです。また手法(教え方)を考えても、両者に決定的な違いがあるわけではありません。教師には教師の、塾の講師には塾の講師のプライドがあるとは思いますが、ノウハウさえあれば、学校の先生が塾の講師の手法で教えることだってできるはずです。フューチャーセンターも、何かしらの社会的課題を解決するという観点では、共通する取り組みはたくさんあります。そこで行われていることも、ダイアログであり、ワールドカフェであり、ファシリテーションであり、格別新しいものではないと僕は思っています。それでも、学校と塾は決定的に違います。学校は教育のシステムであり、塾は一般的に勉強(成績向上)のためのシステムです。例えば、成績優秀な生徒が多くても、同時に人間性や社会性に問題のある生徒も多かったら、良い学校とは言われないでしょう。しかし塾の多くは、生徒の人間性の教育まで求められることはありません。同じようにフューチャーセンターも、他とは明らかに違うシステムです。僕はFutureCenterNEWS JAPANを運営していて、フューチャーセンター界隈の方々と話したり、取材したりする機会があります。「今までのシステムだとどれも足りないという部分があった。フューチャーセンターに出会って、これだ! と思った」という声を複数から聞いています。今までの仕組みの欠点を補いつつ、いいとこ取りしたようなシステムと言えるのだと思います。
ペレンツ・ワークスタイル・ジャパンが主催した、レゴを使って子どもの未来キャリアをプロトタイピングする、一風変わったセッション。フューチャーセンターは、場の方向性さえ適正であれば、手法にはとらわれない。 フューチャーセンターにしたい! という意志があれば、その「場」はフューチャーセンターに
フューチャーセンターとは何なのか。この問いに答えるのは、実はかなり困難です。大雑把な概念はWikipediaの記述や、第一人者の野村恭彦さんの解説を参考にしてもらうとして、説明してきたとおり、手法で他のシステムと区別するのは難しいからです。一方で、「この場をフューチャーセンターにしたい!」という意志があれば、その「場」はフューチャーセンターになります。例えば、静岡県立大学でフューチャーセンターをディレクションしている国保祥子先生は、それまでもゼミの中で類似の取り組みはしてきたのに、敢えてフューチャーセンターを立ち上げた理由を「意識付けのため」と説明してくれました。フューチャーセンターに欠かせない要素として、「討論でなく、全ての人が年齢や立場や職業に関係なく対話する」「現時点の結論でなく、未来志向(未来にどうありたいか)を最優先にする」が挙げられます。が、私たちは現時点での最適解を出す一般的な会議やミーティングに慣れきっています。そこで敢えてフューチャーセンターを掲げることによって、参加する人々の意識を切り替える必要があるわけです。つまり、未来志向をベースとした中立的な場を創りたいという意志さえあれば、そこでなされる内容がどうであれ、フューチャーセンターを名乗る資格があるのです。
静岡県立大学経営情報学部国保ゼミにて定期開催しているフューチャーセンターの様子。「ならでは」の居心地の良さがあり、大学型フューチャーセンターの代表格。 利害関係者の力を結集する
現時点での日本において、フューチャーセンターが最も真価を発揮できているのは、被災地だと思っています。例えば、福島県南相馬市には、被災地で先駆けて『みんな未来センター』ができました。南相馬市では、放射線問題が解決する兆しが一向に見えず、多くの人々は下を向きがちという状況です。そんな中、一部のイノベーター魂を持った人々が立ち上がり、年齢も職業も関係なく夜な夜な『みんな未来センター』に集っては、南相馬の未来について話し合い、一つずつ物事を前に進めています。このように、抜き差しならない課題があり、それを解決したいという強い思いを持った人々がいれば、フューチャーセンターは今までに無いシステムとして、最大限に機能を発揮できるのです。フューチャーセンターの優れた特性として、「ステークホルダーの拡大」が挙げられます。南相馬市でも、どうにかしなきゃと立ち上がった個人やNPOはいました。しかしながら、個々ではできることに限界があります。協力を呼び掛けても、縄張り意識もあり、なかなか有機的な繋がりには発展していきません。フューチャーセンターで議論ではなく対話を重視する一つの理由は、お互いの思いを共有できるからです。「町の未来を創りたいという思いは一緒だ」と気づき、驚くほどのスピードで協力関係が出来上がっていきます。例えば、アイデアマンの誰かがイベントを企画した。でも人手が足りない。地元の人々に参加してもらうために、誰に協力を仰いだらいいのかわからない。広報が苦手。こうした山積する課題に対して、「町の未来を創る」という共通する思いの元に、協力を積極的に申し出たり、どうしたらより良くできるかを共に考えたりする関係に進化していくのです。
福島県南相馬市の『みんな未来センター』。被災地でのフューチャーセンターの先駆け。 フューチャーセンターは日本社会を救う可能性を秘めている
やろう! と手を挙げた個人を支え合えるフューチャーセンターは、被災地だけで必要とされるシステムではありません。日本社会の再生に大きな役割を果たす可能性があります。誰もが認識しているとおり、日本社会は過渡期です。経済成長を前提とした社会システムが限界に達し、あちこちに歪みが現れています。国や行政も大きな方針転換が必要でしょうが、一方で、国単位、行政単位では、細かい全てに目を届ききらせることは物理的に不可能ですよね。ニッチな分野の課題、セクター間の狭間の課題、マイノリティな人々が抱える課題などを解決しようと立ち上がっているのは、個人であり、NPOです。ソーシャル(社会貢献)の文脈が今までにないような盛り上がりを見せているのは、こうしたニーズの高まりが背景にあります。しかし、南相馬市の例のとおり、個人やNPO単体では、できることに限りがあります。共通する目的のもとに結集し、互いの強味を活かし合えるような関係性ができれば、ソーシャルイノベーションは圧倒的に加速します。ステークホルダーを拡大していくためのシステムとして、今のところフューチャーセンターに勝る候補は存在しないようです。 フューチャーセンターのすすめ
みなさん、いかがでしょうか? もし関心を持ったら、身近で行われるフューチャーセッションに足を運んでみてください。「これだ!」と直感する人もいるでしょうし、自分には合わないと思う人もいるでしょう。でも、それでいいのだと思います。参加資格は、「課題に関心があること」ただ一点。誰もが参加できるオープンな場です。一人でもステークホルダーが増えてくれれば嬉しいですね。※フューチャーセッション開催情報は、FutureCenterNEWS JAPANにて情報収集し、発信しています。よろしければご活用ください。 まとめ
フューチャーセンターは施設や手法でなく、システム(仕組み)の名称未来志向をベースとした中立的な場を創りたいという意志さえあれば、そこはフューチャーセンターを名乗る資格がある年齢、立場、職業に関係なく、様々な人々がオープンに集う現時点での最適解を求める議論でなく、「未来志向」で「対話」を行う課題があり、それを解決したいという強い思いを持った個人がいなければ、フューチャーセンターは機能しない対話を重ね、お互いの思いを共有することで、共通の目的の元に様々なステークホルダーが結束できるフューチャーセンターが機能すれば、ソーシャルイノベーション(社会変革)のスピードが速まる

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