つながり・創造・教育 2010年度EPA(関係性の教育学会)大会・総会
6月27日、東京の板橋の大東文化会館で2010年度EPA(関係性の教育学会)大会・総会が行われた。
「関係性の教育学(Engaged Pedagogy)」は、ベル・フックスによって提唱された教授法(教育学)で、関係性の教育学会は学者だけではなく、翻訳家、学生、世界各国で様々な活動をしている人々が参加し、教育における関係性について考え、実践していくものである。
当日は、朝から実践・事例・研究発表が行われ、午後にはシンポジュウム「つながり・創造・教育」とワークショップが行われた。
まず、 コミュニケーションアート(Communication Based Art)「街並み絵巻プロジェクト」について笠尾敦司氏(東京工芸大学)が 思い出横丁街並絵巻プロジェクトについて述べた。
東京工芸大学芸術学部デザイン学科笠尾研究室では、新宿の思い出横町で大学でコミュニケーションデザインを学ぶ学生がワークショップを行い、いろいろなコミュニケーションの形を学ぶと同時に、「その場におけるコミュニケーションをもとに作品を制作し、その作品を展示することでさらに広がりのあるコミュニケーションを生み出すことを目指しているアートプロジェクト」を行っている。
具体的に2008年から思い出横丁内で街並み絵巻を制作する参加型アートワークショップとして「通りがかった方たちが水彩画紙に描いた思い出横丁の街並みの線画の上に、透明水彩で着色し思い出横丁に関わる人達で一本の街並みを作り上げていくというもの」。
この街並み絵巻を暖簾に印刷して、その場に展示して手ぬぐいやアロハシャツなどのグッズにもしている。
このことでそこにいる人の価値を見いだし、そして、コミュニケーションして学び合う。
次に、「私たちが等身大で向き合う平和~芸術を通して~」として島田奈津希氏(ボランティア・市民活動学習推進センターいたばし)と高橋眞菜氏(いたばしピース芸術祭実行委員長)が板橋ピース映画祭から始まる活動を語った。
今年、1月に「板橋から平和を発信」をテーマにNPO等が環境・教育・福祉という分野を超えて、根本に平和(ピース)をおいて、『第1回いたばしピース映画祭“2010”』を開催した。
「平和」についてあまり考えたことのないふつうのひととして、等身大で向き合う平和について考える機会をつくったと述べた。
これからも平和であり続ける大切さを考えるきっかけとして、誰でも参加して平和を考えるための板橋ピース芸術祭を準備している。
ボランティア・市民活動学習推進センターいたばし
http://homepage3.nifty.com/gakusyu-itabashi/
そして「フルクサス(Fluxus)パフォーマンス」として Taylor Mignon氏(大東文化大学)による全員参加のパフォーマンスが行われた。
フルクサスは、アメリカ人のジョージ・マチューナスが主唱した1960年代を代表する芸術運動で、多国籍のグループ(アメリカ、日本、ドイツなど多数)による美術、音楽、詩、舞踏など広い芸術ジャンルがクロスしたものである。
「構想集約ワークショップ ”銀河★星のゆりかご”」(C)がファリテーター長岡 素彦(持続可能な開発ための教育の10年さいたま 代表)によって行われた。
このワークショップは、参加者が私のテーマ、「わたしがしていること、目指していること」をフリップに書いてグループで論議して、ワールドカフェのように、別のグループへ移って論議するものである。
これらを繰り返していろいろな人と私のテーマについて話し合い、他の参加者のテーマを理解して、共通の重要なことを紡ぎだし、最後に、自分のフリップをも他の人のテーマとの関係を考えて床に置き、みんなで考えるものだ。
このようにして、バラバラな私のテーマ、「わたしがしていること、目指していること」が他の参加者のテーマと同じところ、違うところを見て、そのつながりが見えてくる、というものだ。
昼食時に映像作品として「倒れたる者への祈祷」(富山 妙子・1980年5月光州)、「希望の学びアマルちゃん」、「川越まち語り」「クッキープロジェクト」などが上映された。また、「思い出横町」の8mののれん絵巻も展示された。
全体を通して 「つながり・創造・教育」 を考える大会であった。